今回は、海外ドラマを観ることで語彙力とリスニング力がアップすると、なぜ会話力までアップするのかお話しします。
ドラマを観るとリスニング力と語彙力がアップするのはよく分かりますよね。でも、それが会話力にも効果があるって、本当?
少し上達するとぶち当たる壁
ほとんどの日本人は、中学3年間、高校3年間の計6年間は英語を学んできたはずです。もっと長い人もいるでしょう。
でも、話せる人はあまり多くありません。
日本のペーパーテストに偏った教え方、そもそも日本では英語を使わなくても生きていけること、などいくつかの原因があります。
でも、結構一生懸命勉強して、会話の練習もして、少し話せるようになったかも、と自信がつき始めた時に、いざ外国人と話をしていたら、全く会話が成り立たない!という経験をする人は意外と多いのです。
私にもこんな経験がありました。
大学に入ってから本格的に英語を勉強し始めた私。大学1年生の夏、「英語が少し話せるようになったかな」と自信がつきかけた時、イギリスへ旅行に行きました。お店の人たちと複雑な会話をするわけではないので、会話はスムーズにいくだろうと思っていたら、
「自分が言いたいことは言えるし分かってもらえるのに、彼らの言っていることが分からない!」
ということに気づきました。
実は、語学を学んで少し上達すると、多くの人がこの壁にぶち当たります。自分の言いたいことはなんとか言える。でも、相手の言うことが聞き取れないので、会話が成り立たない。
なぜこんなことになるのでしょう?
原因は2つあります。
①語彙力の不足。
②リスニング力が低い。
なぜ英語が聞き取れないのか
さて、こんな状況を思い浮かべてみましょう。
あなたの友達が「疲れた」と言いたい時、 “I’m exhausted.” とか、“I’m worn out.”と言ったとしましょう。
"I'm tired."と言われたら分かるのに、こんなこと言われたから分からなかった!となるかもしれません。
この時、聞き取れなかった原因は主に3つ。
①この表現を知らない=語彙力の不足 または
②知っているのに、思っていた発音とかけ離れていて聞き取れなかった=リスニング力が低い
③話者の話すスピードが速すぎる、または単語が繋がっていたので聞き取れなかった。=これも、リスニング力が低い
そして、聞き取れないと、その後の会話がスムーズに続かなくなってしまうかもしれません。
理解語彙と使用語彙
では、まず①の語彙について説明します。
これはどんな言語においてもそうですが、絶対に、あなたがある言語において話せる語彙(使用語彙)は、聞いて理解できる語彙(理解語彙)を超えることはありません。図にするとこういうことになります。
ということは、リスニング力を上げたり、新しい言葉を覚えていくことによって理解できる範囲が増えていく、つまり外側の円を広げてやると、内側の円もそれに従ってじわじわと広がっていくのです。
考えてみれば、確かにそうですよね。何度も聞いて、聞けばすぐ理解できるようになった単語は、自分の口からもすんなり出てきやすくなります。
さて、これがどう海外ドラマと関係があるのかと言うと、海外ドラマを観ることによって、新しい単語、フレーズをたくさん覚えることができます。つまり、理解語彙が広がっていくのです。これは、直接的に会話力アップにつながったとは感じられませんが、のちに口から出てくるための下地を作っているのです。
リスニング力の向上
②と③のリスニング力の不足、これはもうとにかくたくさん聞いて慣れるしかありません。
単語の意味と発音を知っているつもりでも、実際にネイティブが発音した時に、「あれっ、こんな発音なのか!」と思ったことはありませんか?
海外ドラマを英語の字幕付きで観ていると、そのような場面がたくさん出てきます。それを繰り返す中で、自分の頭に中にある発音を修正していきます。
また、音がつながるとどうなるかもだんだん分かってきて、聞き取れるようになってきます。
すると、どんどん慣れて、リスニング力が向上してきます。
語彙力とリスニング力をあげるだけで会話力もアップする⁈
さて、友達に "I'm exhausted." と言われたというシチュエーションに戻りましょう。
もし友達の発言がすんなり分かったのなら、あなたは返事を返すことができます。
返事をするときは、何も難しい言葉を使う必要はありません。あなたが言える言葉を使えばいいのです。
あなたも「疲れた」と伝えたいなら、 “I’m tired.” 、もっと疲れている時は “I’m very tired.”と言えばあなたの言いたいことは相手に伝わります。何も、"I'm exhausted."とか、"I'm worn out."などと自分にとって難しいとか発音しにくいと思う単語を使う必要はないのです。
もちろん言葉によってニュアンスは違いますし、レベルが上がっていくにつれてそういう言葉を使うようにしていくことは必要ですが、それは置いておいて、私が言いたいのはこういうことです。
たとえネイティブと同じレベルでペラペラ話せなくても、相手の言うことが理解できれば、自分の言いたいことは自分の知っているシンプルな言い回しを使って伝え、スムーズな会話が成り立つのです。
つまり、ある程度英語力がついたら、語彙力とリスニング力を強化することで、スムーズな会話が成り立つようになるのです。
このことを理解せずに、「ネイティブとペラペラとスムーズに会話したければ、同等のスピーキング力をつけなければならない」と思っている人が多い気がします。
そんなことはないのです。「スピーキング力」、つまり話す力と、「会話力」は違うのです。
スピーキング力…文字どおり、話す力。
会話力…スピーキング力、語彙力、リスニング力、コミュニケーション能力を総合したもの |
コミュニケーション能力はまた別の話ですが、語彙力とリスニング力は勉強を続ければ必ずアップします。
そして、海外ドラマを観ることは、語彙力とリスニング力を飛躍的にアップさせることに繋がるので、それによって会話力もアップすると言うワケなのです。
まとめ
・相手の言っていることが分からないのは、語彙力とリスニング力が低いから。
・自分はネイティブと同等に話せなくても、語彙力とリスニング力をあげるだけで、スムーズな会話が成り立つようになる。
・海外ドラマを観ると語彙力とリスニング力がアップするので、会話力も上がる!
でも、一つ注意!もちろん、全く口を動かさずにドラマを観ているだけではダメですよ。効果的なドラマの学習の仕方は、別記事で書きます。