海外ドラマがそんなにいいのなら、すぐにでも観て勉強を始めよう!といいたいところですが、ちょっと待ってください。
どのように海外ドラマを使って勉強するのかお話しする前に、今回はその前にやっておいてた方がいいことを2つ挙げておきます。
別の言い方をすると、初心者は海外ドラマ学習に向いていません。難しすぎて挫折する可能性があります。
でも、これだけやっておけば、あなたはもう「初心者」じゃない!海外ドラマを最大限に利用して、効果をあげることができます。
1. 文法の勉強
文法の重要性
まず、文法を一通りやっておくことが必要です!
というと、やっぱり文法かあ〜、文法は嫌いなんだよなあ…と思う方もいるかもしれません。
でも、文法の勉強をしたかしないかで、海外ドラマからの吸収率はぐっと変わります。
よく、「会話したいんだから、文法なんて大事じゃないよ!」という人がいますが、もちろん大事です。というのは、私たちの普段の会話だって、ちゃんと文法に則って話されているからです。
文法をやらずに会話しようとするのは、算数の問題を公式を使わずに解こうとするもの。不可能ではありませんが、自分でルールを見つけるのには時間がかかります。
せっかく先人が系統立ててまとめてくれたルールがあるのだから、それを学ぶのが一番効率的で手っ取り早い方法なのです!
文法をきちんと勉強していない人は、10年以上経っても、基本的な間違いをします。そして、それゆえ、言いたいことが伝わっていない例をたくさん見てきました。
語学の勉強は、一朝一夕ではできないもの。皆さんも、海外ドラマで英語を勉強しようと思ったからには、3ヶ月だけ頑張る、とか短期限定ではなく、もっと長期的に頑張るつもりですよね?
初めの基礎の部分をきちんとやった人とやっていない人では、何年か経った時の差がものすごく大きくなります。基礎ができていないと、やってもやっても伸びない時期がいずれ来ます。
「スラムダンク」の桜木花道だって、初期にみっちりと基礎をやらされたからこそ、あとで伸びたんですよね(笑)!
中学英語で十分⁈
よく、「中学英語さえマスターすれば、日常会話はこなせる」という話を聞きますよね。
これは本当でしょうか?
私の考えを言うと、中学英語でかなりの部分はカバーできますが、不十分です。
日常生活を舞台とした海外ドラマにおいての会話で、中学文法の域を超えた文法が普通に使われています。
具体的に、中学文法ではカバーできていない項目を挙げます。
・現在完了進行形(have been 〜ing)
・過去完了形(had + 過去分詞) ・使役動詞(「〜させる」という意味のmake, let, have, get) ・知覚動詞(see, hear, feel, watch) + 目的語 + 原型不定詞/現在分詞/過去分詞 ・関係代名詞の非制限用法( , which 〜など) ・関係代名詞what ・関係副詞 ・話法 ・仮定法 ・分詞構文 ・複合関係詞(whatever など) |
こんな感じです。現在完了進行形のように、バリバリ使われるのもあれば、仮定法のように使用頻度はそこまで高くないものもありますが、この程度のことは普通に日常会話で使います。
なので、ここまでやっておけば、日常会話に使われる文法はほぼ全部カバーできます。
これを見ると、多いように感じるかもしれませんが、1〜2週間もあれば学習し終えることができるでしょう。
先ほど、「日常生活を舞台とした海外ドラマにおいての会話で」と書きましたが、特殊な環境を舞台にしたドラマにおいても同じで、ここまで押さえておけば大丈夫です。そのようなドラマは使っている専門用語が難しいだけで、基本となる文の構造が変わるわけではありません。
文法書の選び方
では、中学文法+上に挙げた文法を勉強するのに、どんな文法書を使って勉強すればいいのでしょうか?
私は、難関私立高校の入試にも対応できる高校受験用の問題集を使って教えています。
難関私高校の入試には高校英語の範囲からも出題されるので、このような問題集には、中学文法+上記の指導要領外の文法が全て入っています。
目次を見て、「指導要領外の文法」や、上記に挙げた単元が入っているかチェックしてください。
入っていれば、あとはパラパラめくって気に入ったものを選べばいいと思います。
なるべく解説が詳しいもの、できれば音声がついているものがベターです。
ここであなたが選んだ文法書は、これから繰り返し何度も見返す、あなたにとってのバイブルになります。
文法の勉強の仕方
文法書を手に入れたら、解説を読み、例文を何度も何度も声に出して読み、なるべく頭に入れるようにしましょう。
中学生用の問題集なら、たくさん問題が入っているでしょう。余裕があれば解いてもいいと思いますが、目的が会話ならそこまでしなくてもいいです。
とにかく大事なのは、ちゃんと定着していなくてもいいので、一通りとにかく終わらせることです。
一通り終わった時点で、全部覚えていなくても大丈夫です。一度で覚えられる人などいません。
しっかり覚えていなくても、実際に海外ドラマである文を聞いた時、「あっ、なんかこんな感じのやったよな?」と引っかかります。
そして、文法書に戻って確認します。「あっそうだ、『be動詞+過去分詞』で受け身だった!」と。これを何度も何度も繰り返すことで定着していくのです。
実際、文法を勉強してからドラマを観ると、「あっ、関係代名詞って本当に使うんだ!」「今の文は受け身だった!」と分かることに驚くはずです。引っかかったら、文法書に戻って復習。これを繰り返していくと、いつか自分でも使いこなせるようになっていきます。
(「関係代名詞」などの用語は覚えなくてもいいのですが、覚えていると、この「文法書に戻って復習する」という作業がスムーズになります。)
海外ドラマで学習を始める前に一通り終わっているのが理想ですが、そうでなかったら並行して勉強していきましょう。
フォニックス
フォニックスとは何か
もう一つやっておいたほうがいいものは、フォニックスです。フォニックスというのは、英語のスペルと発音のルールです。
これは、海外ドラマに限らず、英語学習の初期段階で導入されるべきものなのに、なぜか日本の学校教育ではほとんどやりません。近年は、やっているところもあるようですが、すでに成人している世代はほぼみんなやっていないでしょう。
具体的に、どのようなものか説明します。
例えば、なぜ「but」は「ビィーユーティー」と読まずに、「バット」と読むのか?
それは、それぞれ「b」は「ブッ」、「u」は「ア」、「t」は「トゥ」という音なので、それをつなげて「バット」になるからです。
他にも、「car」は、「c」が「ク」、「ar」は「アー(と言いながら舌を丸める)」というように、2文字単位で音が決まっているものもあります。
このように様々なルールがあり、全ての単語の4分の3はルール通りに発音されると言われています。
関連記事:こちらの記事に、フォニックスのことを詳しく書いています。 |
フォニックスを学ぶメリット
フォニックスを学ぶと、次のようなメリットがあります。
①知らない単語でも見れば発音が分かる
②知らない単語でも、音を聞けばスペルが推測できる ③正しい発音の仕方を学ぶことによって、通じやすくなる ④聞き取りやすくなる=リスニングの向上に役立つ ⑤自信がつくので、声が大きくなる→通じやすくなる |
それぞれ説明していきますね。
①知らない単語でも見れば発音が分かる
②知らない単語でも、音を聞けばスペルが推測できる
目で覚えるのが得意なタイプの人と、耳で覚えるのが得意なタイプの人がいますが、もしあなたが目から覚えるのが得意な人なら、単語を覚えたり発音を確認するのにとても役立ちます。
③正しい発音の仕方を学ぶことによって、通じやすくなる
フォニックスでもちろん正しい発音の仕方も勉強しますから、意識して練習していくことで、ぐっと通じやすくなります。
正しい発音の仕方を習っても、なかなかお手本通りに発音するのは難しいものです。なぜかというと、日本人は英語を発音するための口周りの筋肉ができていないからです。
英語の音を出すためには、日本人が普段使わない部分を使う必要がありますが、そこに筋肉がついていないので、日本人はうまく発音できないのです。
でも、一度正しい発音の仕方が頭に入ってしまえば、うまくできなくても正しいやり方で発音するように努力しながら練習できます。そうすると、練習しているうちにその部分に筋肉がついて、楽に発音できるようになってくるのです。
④聞き取りやすくなる
例えば「fan」と「fun」、「bat」と「but」の違いを聞き分けられますか?
これは、母音「a」と「e」の音の違いが分かっていれば、簡単に聞き分けられます。
このように、フォニックスをやることによって、リスニングも容易になってきます。
⑤自信がつくので、声が大きくなる→通じやすくなる
日本人って、声が小さいんです。日本語の発声方法がそもそも英語と全然違っていて、口先を使って発音するので、もともと声が小さい傾向があります。(もちろん個人差はありますけどね。)
なので、相手に理解してもらえなかった時に、やっぱり私の英語は通じない!と思ってしまう人もいますが、単に声が小さくて聞き取れなかったというケースも多いのです。
また、英語に自信がないから余計小さな声になってしまうということもあります。
でも、フォニックスを学ぶことで、どのように発音すればいいか分かるので、自信を持って大きい声で話せるようになり、通じやすくなるのです。
フォニックスの勉強の仕方
こちらは、スペルと音声結びつけて学ぶことなので、音声付きのフォニックスの参考書か、ネットにあるウェブサイトなどで勉強するといいでしょう。私ものちに別記事でもう少し詳しく解説したいと思いますが、ここでは参考になる本とウェブサイトを紹介します。
私は教えるとき、よくこの本を参考にしていました。
また、こちらのウェブサイトは子供用なのでとても分かりやすく、実際に音が聞けるので本と併用するといいでしょう。(タブレットとモバイルからアクセスすると、アプリのダウンロードページにいきますが、PCからはこのサイトが直接見られます。)
フォニックスは絶対に必要?
耳や勘がいい人の中には、フォニックスを体系的に学ばなくても、自分でルールを見出して身につけてしまう人もいます。
または、海外ドラマのセリフをたくさん聞いて慣れてくるとなんとなく分かってくる人も多いです。
しかし、せっかく体系的にまとめられたルールがあるので、ぜひ一通りやることをおすすめします。
フォニックスは、一度一通り勉強するとそれで終わりです。そして、これも、やった人とやらない人では、発音の良さにかなり差が出ます。
筋トレをする時、間違ったやり方をしてもあまり効果はありません。でも、正しい方法を知っていれば、効率的につけたいところに筋肉をつけられますよね。
それと同じで、口周りの筋肉を鍛えるために、正しい発音を知っておいて、それに近づくように発音するよう努力すると、正しい筋肉がつきます。これも、何年も経つと、差が歴然と現れます。
私は、初期段階で必ずフォニックスを教えます。
語学学習に魔法のような方法はない
ここまで読んで、大変だなあ〜〜と思った方もいるかもしれません。
でも、語学学習には、ただ◯◯するだけで簡単に身につく、などという魔法のような方法はありません!
私たちが日本語を使いこなせるのも、毎日毎日使い、学校でも勉強してきたからです。
普段使っていない言語を勉強するのなら、大変なのは当然です。
そしてもう一つ、語学の学習というのは、勉強している時間に比例して伸びるものではありません。
初めはほとんど伸びない時期が続きます。そして、ある時、急にぐんぐん伸び始めるのです。
この「初めの伸びない時期」というのは、文法を勉強しても勉強しても新しいのがどんどん出てきて、今までのだって全然覚えきれてないし、全く進んでいる気がしない…そんな風に感じるものです。
でも、大丈夫。続けていれば、必ず文法やフォニックスの基礎学習は終わります。完璧に覚えていなくてもいいから、とにかく終わらせるのです。
そしたら、あとは復習しながら定着させていくだけ。ここで海外ドラマを利用すると、楽しく続けられるのです。
だから、初めの時期は上達していない気がしても気にしない!みんなそうなのです。ここを乗り越えれば、あとは楽しくなっていきますよ。
まとめ
海外ドラマで勉強する前に、ぜひやっておいて欲しいのは、
・中学英語+高校英語の一部を含む文法の勉強を一通り終わらせること
・フォニックスの学習
です。
始める前にやっておくのが理想ですが、「海外ドラマを見始める前に終わらせなきゃ!」と思うと、いつまで経っても取りかかれないかもしれないので、できることから始めてみてくださいね!
関連記事:こちらの記事に、フォニックスのことを詳しく書いています。 |