海外ドラマは「観る」ものだけど、スピーキング力アップにも効果があります!
今回は、語彙力、リスニング力、スピーキング力などいろいろな力をつけるために、海外ドラマを使ってどう学習するのが効果的かお話しします。
スピーキングはスポーツのようなもの
前に、「ネイティブと同等に話せなくてもいい」と書きました。
でも、英会話の目的はお話しすることですから、もちろんスピーキング力を磨きたいですよね。
まず、海外ドラマ学習法に限らず、英語学習におけるスピーキング力の向上についてお話しします。
テニスに例えると
例えばあなたが新しくテニスを習い始めるとしましょう。
どうやって新しいスポーツを覚えていきますか?
まずは、上手な人がプレイしているのを見ますよね。どのようにプレイするべきか、お手本を学び、それを真似しようします。
そして、いきなりテニスの試合をしますか?
普通はしません。
ルールを学び、ラケットの握り方を学び、素振りをし、ボールを打ち返す練習をし、壁打ちテニスをやったりします。基礎体力をつけるための運動もするかもしれません。
私は正式にテニスをやったことがないので少し違うところがあるかもしれませんが、要は、いきなり試合をやったりはしないということです。
英語学習に置き換えると
それなのに、英会話に関しては、多くの日本人が、ただルールを学び(文法の学習)、ネイティヴスピーカーのお手本を少し聞き、後について1回口に出したくらいで、「6年間(あるいはそれ以上)も学校で英語をやったのに話せない」と嘆くのです。
話せなくて当たり前です。
テニスだったら、ルールを学んで、1回お手本を見て、せいぜい1回真似してみただけで出来るようになるなんて誰も思いません。英語だって同じです。
テニスでこういうことをするなら、
- ルールを学ぶ
- お手本を見る
- 繰り返し練習する
英語学習に置き換えるとこういうことです。
- 文法を学ぶ
- ネイティブスピーカーが話すのを聞く
- それを真似て繰り返し口に出す
特に、繰り返し口に出すという練習を繰り返しやって体で覚えないと、話せるようになりません。当たり前です。
前回お話ししたように、日本人は、英語を発音するための口周りの筋肉がついていません。なので、何度も繰り返し発音することがトレーニングとなって、筋肉がつくのです。
練習で筋肉をつけて強くなる…スポーツのようなもの、というより、まさにスポーツですね!
そして、テニスでは試合ばかりして上達するという人はあまりいませんよね。試合をするには相手がいるので、いつでもできるわけではないという事情もあります。でもそれだけではなく、たくさん素振りや壁打ちと言う地道な基礎練習をしたからこそ、試合でも体が覚えていた動きがとっさに出て、飛んで来たボールが気持ちよくスパーンと打ち返せるんですよね。
「スラムダンク」でゴリが「個人練習をしないと強くなれるわけないんだ…!」というようなことを言っていたのと同じです。(いきなり例えがバスケットボールになってしまいましたが…。)
英語も、壁打ち練習や素振りなどの個人練習が必要です。つまり、1人で地道に声に出して言う練習をするのです。すると、会話のボールが飛んできた時に、気持ちよくスパーンと打ち返せるようになるのです。
語彙、リスニング力、スピーキング力をあげるための海外ドラマの見方
では、そういうことを踏まえて、私が考える効果がある海外ドラマの学習方法を紹介します。
語彙力、リスニング力、スピーキング力を伸ばせるようになるやり方です。
初めに簡単に言うと、こういうことです。
①英語音声+英語字幕で観る。
②知らない単語を含む文、使えると思った文などをノートに書き留める。 ③その場で調べたり発音する。 |
詳しく説明してから、また最後に分かりやすくまとめますね。
英語音声+英語字幕で観ましょう
ネットでいろいろ調べてみると、海外ドラマを使った英語学習方法として、
①日本語字幕で観る→②英語字幕で見る→③字幕なしで観る
という方法が載っていますが、本当にみなさん、同じドラマを3回も観るんですか?
ものすごーーく気に入ったものならいいのですが、普通いくら好きでもそんなに観たら飽きますよね…。
しかも、時間がかかります。1シーズン20話×4シーズンとかあったら、一体いつ終わるんでしょう…。
なので、日本語字幕では観なくていいです。日本語字幕は、1秒に4文字ぐらいという制限があるため、話のスピードが速いと、かなり意訳されます。意訳されると、単語本来の意味が分かりません。
また、以前書いたように、海外ドラマの学習を始める前に、文法を一通り終わらせておけば、日本語字幕なしでも、英語字幕を読めば半分ぐらいは分かるはずです。
音声を聞きつつ字幕を読むことは、初めのうちはかなり速く感じるかもしれませんが、読んでいればそのうち慣れます。
字幕を読みながら、それぞれの単語がどう発音されるか、単語と単語がつながるとどんな音になるのか注意して聞いてください。
「へえ、こんな発音なんだ!」と思ったら、一時停止して、何度か真似て発音してみてください。
一つ注意したいのは、字幕はたまに省略されることです。セリフと同じ意味だけど、より簡単な文になっていることがあります。でも、ほとんどの場合は言っている言葉そのままなので、あまり気にしなくてもいいと思います。
このように、英語音声+英語字幕で観ることで、英語を英語のままで理解しようとする英語脳を作っていくことができます。
また、字幕と一緒に音声を聞くことで、リスニング力がアップしていきます。
では、何回観ればいいでしょうか?
1回目には分からなかったことが2回目だとはっきり分かることも多いので、2回観るのが効果的ですが、1回でも次のようなやり方をすれば十分効果があります。
ノートに文を書き留めたり、聞いた文や単語をどんどん発音していきましょう
ノートを用意します。書き留めることは2種類。
・分からない単語を含む文
・これ使える!と思った文 |
・分からない単語を含む文
この単語が分からないけど、話の重要な部分だから知りたい…と思ったら、一時停止して、文をノートに書き出しましょう。
この時、分からない単語が一語であっても、文全体を書いたほうがいいです。単語だけ意味が分かっても、使えないことが多いからです。
次に、分からない単語をその場ですぐに調べましょう。電子辞書やネットで調べて、発音を聞いて、自分でも何度も発音します。
すぐその場で調べるのは、あとでまとめて調べてもどんなシチュエーションだったか忘れているため、効果が半減するからです。
次に、ドラマを少し戻して、今調べた単語を含む文をもう一度聞いたら、一時停止して、その文を読みましょう。
・これ使える!と思った文
これも、一時停止して文を書き留めましょう。そして、自分で発音してみましょう。
その他
ドラマには結構、会話の間があります。そういう時、一時停止をしなくてもいいので、どんどん真似して発音してみましょう。
文法で引っかかったら文法書を見直そう
こちらの記事で、海外ドラマで勉強する前に、文法を終わらせるといいと書きました。
関連記事:海外ドラマで英語学習③初心者に海外ドラマは向いていない⁈これだけはやっておけ!
観ている途中で、「これやった気がするけど、どういう意味だっけ?」と思ったら、文法書を見直してください。時間がかかりそうなら、ドラマを観終わった後でもいいです。
でも完璧でなくていい
そんなドラマの見方をしていたら、すごく時間もかかるし大変そう…と思うかもしれません。
でも、全部じゃなくていいんです。
ドラマ1話で、5〜10ぐらいのセンテンスを書いて声に出したら、よしとしましょう。(やる気のある人は、知らない単語を全部調べればもちろんその分、力がつきます。)でも、数を決めるとノルマ化して楽しくないので、特に数を決めなくてもいいです。
6〜7割ぐらい分かれば、話はだいたい分かります。それでいいのです。
少なくとも、あなたは1話観ることで、今まで知らなかった単語やフレーズを覚え、言えなかった文がいくつかは言えるようになったのです。
2回観る場合のやり方
そんなやり方をしないで、純粋にドラマを楽しみたい…と思う方もいると思います。その場合、「今回は勉強する」「今回は観る」と分けてやりましょう。
先に「勉強する」をしてから「観る」方が効果的です。
また、10話ぐらいで1シーズン終わるのなら1〜10を観てから2巡目、としてもいいですが、20話を超えるような場合、1話→1話→2話→2話…という順番で観ていった方がいいかもしれません。でも自分の好みでどうぞ。
(1話ずつ観るとキリがいいのですが、そうと決めなくても大丈夫です。Netflixなどのサービスは、途中で止めても前回観終わったところから再開できるので、時間がなかったら途中で切り上げても大丈夫です。)
何回練習する?
あなたがその文を、何も見ずにスラスラ言えるまで練習できるといいですね。人によって違いますが、最低でも5〜10回ぐらいは練習できるといいです。
ドラマを観ている途中は、あまりにも練習に時間を使うと観るのに時間がかかりすぎるし、早く続きを観たいでしょうから、1〜2回練習でいいかと思います。でも、観た後(次の日でももちろんいいです)にノートを見てぜひ繰り返し練習をしてみてください。
練習したら、ノートから目をそらして文を見ずに言ってみましょう。はっきり分かっていると思っていたのに、意外とあやふやだったことに気づくかもしれません。
文を見ずにスラスラ言えたら、OKです。
登場人物になりきってセリフを言う
そして、ドラマならではこその練習方法。ドラマを観ていない時に、登場人物になりきってセリフを言ってみましょう。
楽しんで観ている時期は、例えば家事をしている時などにドラマのことを思い出していることがありますよね。そんな時、実際に相手役が目の前にいると想像してセリフを言ったりしてみてください。
とにかく、フレーズや文を何度も思い出し、必要な時にさっと出てくるようにするのが会話ができるようになるということです。そのためには、なるべく頻繁に思い出し、さっと頭の引き出しからとり出せる練習を普段からするのが、学んだことを会話に生かすコツです。
この「頭の中で何度も思い出す」というのは、嫌いなことならただ苦痛なだけです。でも、夢中で観ているドラマなら、楽しんでできますよね。これがドラマがいい教材たる理由です。
実際の状況を思い浮かべながら練習する
登場人物になりきるのもいいですが、実際に自分の生活の中でどんなフレーズが使えるか考えて想像しましょう。
"Your mother looks young!"(あなたのお母さん、若く見えるね!)という文を学んだとします。これを口に出して練習する時、実際に若く見えるお母さんを持つ友達が目の前にいると想像しながらその文を口に出します。
自分に使える表現にアレンジする
例えば、"I've always wanted to go to Russia!"(私、ずーっとロシアに行きたいと思ってるの!)というセリフが出てきたとします。
それを何度も練習して…あなたは実際にその文を使いますか?
もしあなたがロシアに行きたいと思っていないなら、使うことはありませんよね。
なので、"I've always wanted to go to France!"などと実際に自分が使いそうな表現にアレンジして、練習します。
面倒な場合は、ハードルを下げても
ここまで読んで、え〜面倒くさい…と思うかもしれません。
それなら、ハードルを下げてもいいのです。
あまりにも面倒になって何もできないくらいなら、ノートには書かないと決めて観るのも一つの方法です。
少なくとも知らない単語が出てきたら調べて発音する、ということをすれば、少しは身につくでしょう。
でも、人間とは忘れるものなので、ノートに書き留めないとかなりのことを忘れます。
ノートに書いておけば、次のエピソードを観る前にざっと見直すことができ、それだけでかなり多くのことを思い出し、定着を助けます。
ただ、ノートに書き留めるのはめんどくさくてドラマを観られない…となると何も進まないので、やりやすいようにハードルを下げるのも一つの手です。
また、ノートにたくさん書くのが大変だと思うなら、初めは単語だけ書き留める、2〜3文書き出す、などと量を減らすのもいいでしょう。
少し面倒でも、こうやって少しずつ語彙を増やしたり、言える文を増やしていくことによって、「あ、これ前に調べた単語だから分かった!」と上達が感じられるようになっていくはずです。なんとなく海外ドラマを観ているだけでは、上達していることがあまり実感できないものなのです。
そうやって分かるようになると、より楽しくなっていきますよ。
まとめ
いろいろ書いたので、すごくたくさんのことをしなければいけないように感じたかもしれませんが、ドラマを観る時にやることはシンプル。
①英語音声+英語字幕で観る。
②知らない単語を含む文、使えると思った文などをノートに書き留める。 ③その場で調べたり発音する。 |
です。必要なら、一時停止したり戻ったりします。他にも、機会があれば口を動かしてください。
そして、ドラマを観ていない時に、ノートを読み返して、
④ドラマの登場人物になりきってセリフを言ってみたり、
⑤自分の日常生活で言う場面を思い浮かべて(必要ならセリフをアレンジして)セリフを口に出して繰り返し練習し、 なるべく学んだ文を繰り返し頭の中で思い出す! |
大変だと思うなら、ノートに書くのはやめたり(その場合も少なくとも単語いくつかは調べる)、書く量を少なくしてもいい。
ということでした。
ただ観ているだけで少しリスニングは上達すると思いますが、こうするだけで語彙力、スピーキング力までついてくるのです。
少し手間と時間がかかりますが、知らなかった単語やフレーズの意味を覚え、言えなかった文を言えるようにしていくので、着実に会話力がアップします。
やってみれば意外と簡単、そして少し続けると上達していると実感できるし分かるようになってくるので、楽しくなってきますよ。