主要登場人物が全てアジア系なのに、アメリカをはじめとする世界中で大ヒット中の「クレイジー・リッチ！」（原題：Crazy Rich Asians）。
アジア系などのマイノリティが主人公の映画はヒットしないという定説を覆し、異例のヒットとなっています。
9月28日の日本での公開が待ち遠しいですね。
この映画は、シンガポール人でアメリカに移住したケビン・クワンさんの小説を元に製作されたものですが、なんとこの原作者は指名手配されている⁈と聞いたので、事実関係を調べてみました。
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「クレイジー・リッチ！」の原作者、ケビン・クワンとは
ケビン・クワンのプロフィール
名前：Kevin Kwan（ケヴィン・クワン）
出生地：シンガポール
生年：1973 / 1974 （現在44歳）
ウェブサイト：Kevin Kwan Books
ケビンさんはシンガポールで格式のある家庭で、３兄弟の末っ子として生まれました。曽祖父はオーバーシー・チャイニーズ銀行（華僑銀行）の創始者です。
ケビンさんが11歳の時、エンジニアである父親とピアニストである母親は、子供を伴ってアメリカ・テキサスに移住。ヒューストン・クリアレイク大学でメディア学、パーソンズ美術大学で写真を学んだあと、「インタビュー・マガジン」などで働きます。その間、ケビンさんはアメリカの市民権を取得します。
その後、2000年に自身のクリエイティヴ・スタジオを設立し、TED、ニューヨーク近代美術館、ニューヨークタムズ紙などのプロジェクトに関わります。
…なんだか華麗な人生ですね。ケビンさんは、「自分は『クレイジー・リッチ』ではない」と映画のヤング家のような裕福な家庭ではないと否定したものの、シンガポール国民の８割が住んでいるという公団住宅に住んでいるような家庭ではないと思われます。
ケビン・クワンの著書
そして、2013年に「クレイジー・リッチ！」の原作である "Crazy Rich Asians" を刊行しました。
クレイジー・リッチ・アジアンズ上巻。
クレイジー・リッチ・アジアンズ下巻。
上下巻一緒になった電子書籍版もあります。
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この物語は、ケビンさんが癌にかかってしまったお父さんの治療のために病院に何度も連れて行く間、2人でシンガポールの思い出を語り合うようになり、そのよみがえった思い出を残しておこうと書き始めたのが始まりだそうです。
この物語は、第２巻、第３巻に続く３部作ですが、まだ日本語に翻訳されていません。
第２巻の "China Rich Girlfriend" (2015)。
第３巻の "Rich People Problems" (2017)。
いずれもベストセラーになり、ケビンさんはハリウッド・レポーター誌の「もっとも力のある作家100人」のリストのうち、「注目すべき5人の作家」の1人に選ばれました。
また、2018年には、タイム誌の「もっとも影響力のある100人」にも選ばれました。
そして、2018年8月に公開された映画「クレイジー・リッチ！」は異例の大ヒット。
まさに順風満帆を絵に描いたような人生だと思われますが、なんとここに来て、「ケビン・クワンは指名手配されている」との情報が！！
ケビン・クワンが指名手配されているのはなぜ⁈
シンガポールの国防省が2018年8月22日に公表した声明によると、ケビンさんは兵役を忌避した罪で指名手配されている、とのことです。
そうです、あまり知られていませんが、シンガポールには２年間の兵役があるのです。
シンガポール国民の男子は、基本的に16歳半になると兵役登録し、18歳から２年間兵役につく義務があります。
国防省によると、1990年にケビンさんの海外の住所に何度も通告や手紙を送ったにも関わらず登録はされませんでした。また、有効な出国許可も取得していませんでした。
11歳でアメリカに移住したケビンさんですが、シンガポールの市民権を保有している限りは、海外在住とはいえ、兵役の義務を果たさなければいけないのですね…。（厳しい！）
余談ですが、永住権を取得した外国人も、第２世代から兵役が課されます。つまり、シンガポール永住権を取得した日本人夫婦でも、子供には兵役義務がある、ということです。
1994年に、ケビンさんは、兵役義務なしでシンガポールの市民権を放棄する申請をしたそうですが、それは却下されたということです。
というわけで、もしケビンさんがシンガポールに足を踏み入れたら空港で逮捕されてしまうのです。
有罪判決を受けると、1万ドルの罰金か３年間の服役、またはその両方が科されるということです。
2018年8月21日に、「クレイジー・リッチ！」のシンガポールプレミア上映で、ほとんどすべてのシンガポールキャストが集結したのに、ケビンさんが欠席だったのはおそらくそういう理由なのでしょうね。
この映画のヒットは、シンガポールの観光業にとってきっと大きなプラスになるだろうから、恩赦してあげればいいものを〜〜と外国人で部外者の私は思ってしまうのですが…。
シンガポールを舞台とした映画のプレミアにシンガポール人の原作者が参加できないんて寂しいですよね…。
まとめ
ということで、ケビン・クワンさんがシンガポールで指名手配されているという理由は、兵役義務を果たしていなかったということでした。
「クレイジー・リッチ！」は続編の製作が決まっているので、それまでに解決されるといいですね。
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