"bored" と "boring" の意味は両方とも「退屈」ー。そんな風に覚えておくと、とんでもない誤解を招く文を言ってしまうかもしれません。
この機会にこの2つの言葉の違いをはっきり覚えておきましょう。
そして、これさえ覚えておけば語彙が3倍になるすごいルールもお教えします!他の言葉も覚えて、一気に語彙力をアップさせちゃいましょう!
「私は退屈な人間です⁈」
昔、インターナショナルスクールに通っていた中学生の女の子が言いました。
なんで "I'm boring." じゃいけないの?"boring" も『退屈』っていう意味だよねえ?
意外にこう思っている人は多いものです。確かに両方とも「退屈」と覚えてしまうと、どっちを使っても同じような気がしますよね。
でも、ものすごく大きな違いがあります!
I'm bored. 私は退屈しています。
I'm boring. 私は退屈な人間です。 |
ん、どういうこと⁈もう少し詳しく説明していきましょう。
語幹が同じ形容詞
bored, boringのように、語幹(言葉の初めの共通した部分)が同じで、語尾が-ed、-ingとなる形容詞が両方ある、と言うパターンの単語はたくさんあります。
例えば、interestedとinteresting、excitedとexcitingなどです。
このような形容詞には、次のようなルールがあるのです。
①-ed で終わる形容詞は、「感情」を表し、多くの場合、人が主語になる。
②-ing で終わる形容詞は、「性質」を表し、多くの場合、物・事が主語になる。 |
つまり、初めの例文で言うと、
I'm bored. 私は、「退屈だ」という感情を持っている。
→私は退屈している。 (主語は「私」という人) |
という事なので、boredを使うのが正しいのです。
一方、
That movie was boring. あの映画は、私を退屈がらせるような性質のものだった。
→あの映画は退屈だった。 (主語が「あの映画」という物) |
ということなので、この場合はboringを使うのです。
「性質」というのが難しければ、「他の人を "bored" という気持ちにするもの」と考えましょう。
一つ注意しなければいけないのは、主語が「人」か「物・事」かだけで判断してはいけません。
He is boring. 彼は、人を退屈させるような性質を持った人である。
→彼は、退屈な人間だよ。 (この場合、主語は「彼」という人) |
というように、人が主語でも、その人の感情ではなく、「他人を退屈な気持ちにさせる」という性質を言う時は、-ingで終わる単語を使う場合もあるからです。
なので、「主語は何か」で判断せず、「『感情』を言っているのか、『性質』を言っているのか」で判断しましょう。
つまり、ポイントは、こういうことです!
「退屈だ」という感情を持っている → bored
人を退屈だと思わせる性質のものである → boring |
語幹は「〜を…させる」という他動詞
さらに、もう一つとっても使えるルールを教えちゃいます!
それは、
③語幹(単語の初めの共通した部分)は、「〜を…させる」という他動詞である |
(「他動詞」とは、「〜を」に当たる目的語を必要とする動詞のことです。)
実は、-ed で終わる形容詞も、-ing で終わる形容詞も元はと言えばこの他動詞からできたものですが、あまり詳しく説明すると頭が混乱すると思うので、詳しい説明はせずにおきましょう。
このルールに当てはめると、
bore = 〜を退屈がらせる
という他動詞なのです。例えば、このように使います。
His story bored me to tears. 彼の話は涙が出るほど私を退屈がらせた。
→彼の話は、涙が出るほど退屈だった。 |
※この場合は、動詞が過去形なのでdがついて "bored" になっています。感情を表す形容詞と同じ形ですが、違うものです。
3つのルールをまとめて覚えてしまおう
大事なことなので、ここでルールをまとめますね。
①-ed で終わる | 「感情」を表す形容詞 | bored | 退屈した |
②-ing で終わる | 「性質」を表す形容詞 | boring | 退屈な |
③語幹 | 「〜を…させる」という意味の他動詞 | bore | 〜を退屈させる |
例文:(違いがよくわかるように直訳しています。)
①I'm bored. (私は「退屈」だと言う感情を持っている。)
②That movie was boring. (あの映画は人を退屈させるような性質のものだった。)
③His story bored me to tears. (彼の話は涙が出るほど私を退屈させた。)
これさえ覚えておけば、「退屈」以外の様々な単語に応用できるのです!
同じルールが適用される単語
以下の単語は、このルールが全く同じように適用されます。
語幹(〜を…させる) | -ed(感情) | -ing(性質) |
amaze(〜をびっくり仰天させる) | amazed(びっくりした) | amazing(びっくりするほど素晴らしい) |
amuse(〜を楽しませる) | amused(楽しんだ) | amusing(人を楽しませる) |
annoy(〜をイライラさせる) | annoyed(イライラした) | annoying(うっとうしい) |
confuse(〜を困惑させる) | confused(困惑した) | confusing(紛らわしい) |
depress(〜を落胆させる) | depressed(落胆した) | depressing(気が滅入るような) |
disappoint(〜をがっかりさせる) | disappointed(がっかりした) | disappointing(期待はずれの) |
disgust(〜をムカムカさせる) | disgusted(ムカムカした) | disgusting(胸が悪くなるような) |
disturb(〜の邪魔をする、〜を不安にする) | disturbed(悩んでいる) | disturbing(人を不安にする) |
embarrass(〜に恥ずかしい思いをさせる) | embarrassed(恥ずかしい) | embarrassing(人を恥ずかしくするような) |
例文:embarrassed, embarrasing
Oh my gosh, I'm so embarrassed! (ああ〜、すごく恥ずかしい!)
Stop picking your nose! It's embarrassing. (鼻をほじるのはやめて!恥ずかしいよ。)
もう少し紹介しますね。
語幹(〜を…させる) | -ed(感情) | -ing(性質) |
excite(〜を興奮させる) | excited(興奮した) | exciting(興奮させる) |
exhaust(〜を疲れ果てさせる) | exhausted(疲れ切った) | exhausting(疲れさせる) |
frighten(〜をぎょっとさせる) | frightened(ぎょっとした) | frightening(ぎょっとさせるような) |
interest(〜に興味を起こさせる) | interested(興味を持った) | interesting(面白い) |
satisfy(〜を満足させる) | satisfied(満足した) | satisfying(満足な) |
shock(〜に衝撃を与える) | shocked(衝撃を受けた) | shocking(衝撃的な) |
surprise(〜を驚かす) | surprised(びっくりした) | surprising(驚くべき) |
terrify(〜をおびえさせる) | terrified(おびえた) | terrifying(恐ろしい) |
thrill(〜をゾクゾクさせる) | thrilled(興奮した) | thrilling(ぞっとさせる) |
tire(〜を疲れさせる) | tired(疲れた) | tiring(疲れさせるような) |
例文:excited, exciting
She'll be very excited to see you. (彼女はあなたに会えて興奮するでしょう。)
The tennis match was exciting. (そのテニスの試合はエキサイティングだった。)
excited, exciting については、こちらのページも詳しいです! |
"thrill" という単語は、日本語の「スリル」の元になった言葉で、恐怖を与えるゾクゾクとした感じの時も使いますが、快感・興奮でゾクゾクする感じの時も使います。
My daughter will be thrilled! (娘はすごく喜ぶと思うわ!)
This novel is really thrilling. (この小説は、本当にスリリングだよ。)
いかがですか?結構、よく聞く単語も入っていますよね。
このルールを覚えておけば、語彙が何倍にもなってしまうのです!
例外的な変化をするもの
例外的な変化をするものもあります。
語幹(〜を…させる) | -ed(感情) | -ing(性質)…のはずですが |
scare (〜をこわがらせる) | scared (こわい) | scary (人をこわがらせるような) |
impress (〜に感銘を与える) | impressed (感銘を受けた) | impressive (印象的な) |
scare, scared, scary はとてもよく使います。
例文:
Don't scare me like that! (そんな風にびっくりさせないでよ!)
I'm so scared. (すごくこわいよ〜)
The movie was scary! (その映画、こわかった!)
まとめ
とにかくこれが大事!
①-ed で終わる | 「感情」を表す形容詞 | bored | 退屈した |
②-ing で終わる | 「性質」を表す形容詞 | boring | 退屈な |
③語幹 | 「〜を…させる」という意味の他動詞 | bore | 〜を退屈させる |
これさえ覚えておけば、他のいろいろな単語に応用できて、語彙が一気に3倍になります!
上に挙げた表に載っている単語は、よく使うものばかりです。ぜひ全部覚えてください。
きっと海外ドラマなどを観ている時に、出てきますよ!