最近は昔に比べて本を読む量が減った人も多いようですが、本屋さんに行くとつい本を買ってしまうことも多いですよね。
でも忙しさにかまけて読めず、本が積み重なっていく…。人はそれを「積ん読(つんどく)」と呼びます。
きっとこういうことは世界中の人が経験していると思いますが、これを英語で説明する時にはなんと言えばいいのでしょう?
この記事では、「積ん読」を英語で何というか、「積ん読」に関して出た京都大学の入試問題、そして最近浸透してきた驚きの新訳、積ん読解消になるかもしれない本棚を紹介します。
積ん読(積読)とは
「積ん読」とは、本を買って読まずに積んでおくことです。「積ん読」とも「積読」とも表記されます。
この言葉はいつどのようにできたのかというと、
積読とは本を買うだけ買って読まずに積んだままにしておくことで、「積んでおく」と「読書」をかけた駄洒落的な合成語である。
読書が家庭における娯楽の中心であった明治時代に普及したこの言葉、読書離れが原因なのか現代ではあまり耳にしなくなったが、学生がヤル気満々で大量に購入した問題集を机の上や本棚に置いたままにしたり、ブログやテキスト系WEBサイトを「いつか読もう」とお気に入り登録し、そんなブックマークでお気に入りがいっぱいになった状態など現代でも積読は存在する。出典:日本語俗語辞書
何と明治時代から使われている言葉だそうです。
そして、後半に書いてあるように、確かに読書離れした現代にも、デジタル積ん読は存在しますよね(笑)。
2016年京大英語入試問題で話題に
2016年、京都大学の英語入試に「積ん読」に関する問題が出され、ネットで話題になりました。
京大英作、英訳じゃなくなる pic.twitter.com/witBjp1emP
— ぺ (@Painful90) February 26, 2016
見づらいかもしれないので、書きおこします。
[IV] 「積ん読」という言葉をめぐる次の会話を読んで、空欄(1)(2)に入る適当な応答を、解答欄に収まるように、英語で書きなさい。
Dolly: I see that you have so many books! You must be an avid reader.
Ken: Well, actually, I haven't read them. They are piling up in my room and just collecting dust. This is called tsundoku.
Dolly: Really? I've never heard oftsundoku. Can you tell me more about it?
Ken: (1)
Dolly: I can understand. What are your thoughts ontsundoku?
Ken: (2)
*avid 熱心な
pile up 積み上げる
<日本語訳>
ドリー:たくさん本を持っているのね!読書家なんでしょう。 ケン:いや、実は読んでないんだ。積み重なって埃をかぶっているだけ。これを「積ん読」って言うんだ。 ドリー:本当?「積ん読」なんて聞いたことないわ。もっと教えて。 ケン:(1) ドリー:分かるわ。「積ん読」のことをどう思う? ケン:(2) |
つまりこの問題では、(1)で積ん読のことを英語で説明させ、(2)で積ん読に関する意見を表現させようというのが出題者の意図だったのでしょう。
さて、あなたは英語で「積ん読」をどう言えばいいか知っていますか?
「積ん読」を英語で言うと
英語の辞書やオンラインで調べてみると、実は「積ん読」を一言でズバリと言い表せる英語の言葉はありません。
なので、様々な言い方があります。
Wikipediaの定義では、
acquiring reading materials but letting them pile up in one's home without reading them
(読み物を入手するが読まずに家で積み重ねておくこと) |
*acquire 〜を得る
となっています。日本語なら「積ん読」一言なのに、こんなにたくさんの言葉を使わないと表現できないのですね。
他にも、
・a pile of books I haven't read yet (まだ読んでいない本の山)
・He often buys books, but just leaves them unread. (彼はよく本を買うが、読まないまま放っておく。)
などと様々な表現ができますが、説明的になってしまいます。
世界の"tsundoku"に⁈
BBCが"tsundoku"を紹介
ところが、2018年の7月29日、イギリスのBBC(英国放送協会)が、「積ん読」のことを、"tsundoku"として特集したのです!
以下は、BBCの記事の冒頭です。
Do you have a habit of picking up books that you never quite get around to reading?
If this sounds like you, you might be unwittingly engaging in tsundoku - a Japanese term used to describe a person who owns a lot of unread literature.
読めもしない本をつい買ってしまう癖がある?もしそうなら、あなたは無意識のうちに『積ん読』をしているのかもしれませんよ…(『積ん読』とは読んでいない本をたくさん持っている人をさして使う日本語です)。
ここでは、積ん読のことを、"picking up books that you never quite get around to reading"(読めもしない本を買ってしまうこと)と説明しています。
このような説明がされるということは、まだ浸透しきっていないということですが、あのBBCが「積ん読」を "tsundoku" のままで受け入れてくれている…!
"bibliomania"と"tsundoku"の違い
実は、英語には今まで似た意味の単語として、"bibliomania" という言葉がありました。本をたくさん収集する人のことです。
ただ、日本語訳が「蔵書癖、書物収集狂」などとされることから分かるように、本を収集しようという情熱があって集めている人のこと、つまり本のコレクターです。
でも、「積ん読」は違いますよね。収集する気などさらさらないのですが、気づいたら溜まっていた、という状態。そして、ほとんどの人はこちらに当てはまります。
なので、"tsundoku"という言葉が紹介されると、「まさに自分の状況を表すのにぴったりの言葉だ!」「この現象って名前があったのか!」と衝撃を受ける外国人が多かったようです。
実は"tsundoku"はじわじわ浸透してきていた
今回世界的にも権威を持つメディアであるBBCが紹介したことによって広く知られることになりましたが、実は以前から"tsundoku"はじわじわ浸透しつつありました。
"Tsundoku", the Japanese word for the new books that pile up on your shelves, should enter the English language
(読まずに積み重ねられた本を表す「積ん読」という日本語は、英語に採用すべき)
こちらの記事は2014年に書かれていますので、少なくとも数年前には認識されつつあったようです。
面白いのは、
「Kindleに入っているまだ読んでない本のことは何て呼べばいいかしら。E-tsundoku? Tsunkindle?」
というところ。積んキンドル(笑)。
"tsundoku"はどの程度浸透しているのか
BBCが紹介したとはいえ、本当に英語圏の人に"tsundoku"は浸透しているのでしょうか?
試しにインスタグラムで"#tsundoku"というハッシュタグを見てみると、2018年8月1日現在、約1万500件の投稿があります。
セールで好きなだけ本を買ったから、Tsundokuになっちゃうかも!
私のtsundokuの現状
バッグまで売ってます(笑)。
じわじわ浸透してきている感ありますね…!
世界中の人が経験する現象であり、一言で言い表わせる便利な言葉だけに、スシとかニンジャ級に普及してくれたら、便利そうです。
積ん読本棚で積ん読解消⁈
積ん読が進むほど読書が億劫になってしまうのは、下の方にある本は上に積み重ねられている本の重みをどけて取り出さないといけないから。
でも、こんな本棚なら欲しい本をスッと取り出せるので積ん読が解消されるかも?
でも、意外と高いんですね、びっくりしました(汗)。
まとめ
今までは「積ん読」を英語で表現したかったら、
"acquiring reading materials but letting them pile up in one's home without reading them"
などと言わなければいけなかったけれど、これからは、
"Tsundoku"
この一言で通じるようになるかも!
でも最近は、紙の本を買う人が激減しているので、デジタル積ん読についての世界共通語もこの先出てくると便利だな〜と思います。